2009年07月31日

七月日記

24冊くらい。

↓日記
7/31~ 休暇へ。 「ポトマック」を読む。
7/29~30 休暇の準備他悪あがき。
7/28 「素粒子」を読む。
7/26 「忌まわしい匣」「予告された殺人の記録」「アーサー王ここに眠る」を読む。
7/25 少し落ち着く。「魔術師が多すぎる」「不思議な国のラプソディ」「ファンタジーへの誘い」「S-Fマガジン09年9月号」を読む。
7/22~24 突発的にごたごたする。
7/21 「現代フランス文学13人集・3」を読む。
7/20 「地獄のコウモリ軍団」を読む。
7/18 「スタークロス」を読む。
7/17 祭。「邪魅の雫」を読む。
7/16 祭。
7/14 何かの打ち上げ。
7/11 「メタモルフォーシス」読了。
7/9 「神を見た犬」「マダム・エドワルダ/目玉の話」「ヴェネツィアに死す」読了。
7/8 「いずれは死ぬ身」読了。
7/7 「SF本の雑誌」を読む。
7/6 「ZOKURANGER」を読む。
7/5 「聖女チェレステ団の悪童」を読む。
7/4 「ヱヴァ破」を観た。ミヒャエル・ゾーヴァ展を観た。「コップとコッペパンとペン」を読む。
7/3 作業。
7/2 「超弦領域」「恐怖のハロウィーン」を読む。
7/1 特になし。
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2009年07月29日

「素粒子」

ミシェル・ウエルベック 筑摩書房

時は戦後、西洋文明が大きな規範から個人主義へと大きく舵をきりながら、そのまま性と資産の争奪戦へ沈没しつつあった時代。「発展的」な母親によって世に産み落とされ、時代のエッジを行くことになる異父兄弟がいた。兄ブリュノは非モテをこじらせて下半身で考える文学青年くずれとなり、弟ミシェルは恋愛や愛欲の結びつきを理解できない非コミュ理系となった。愛ゆえに苦しまなくてはいけない人間の未来は愛か解脱か、そのときすべては二人の生き様のぶつかりあいにかかっていたかというとそうでもなく、二人の残念な人生を通して現代を要約するとかそういうの。
社会を統合し条件付けるものとしての思想原理と宗教の衰退について議論し、60~70年代をばっさり切り捨てたりと過激なことをやりながら、登場人物レベルではどこまでもシモくて卑近。時系列を前後しながら、ミシェルとアナベルのすれ違いは案外さらっとながす一方で中年になってニューエイジ系セミナーにナンパにきたブリュノがうろうろする様子は何かみっちり書く。ちょっとうっとうしいけど、終盤色々失ったミシェルが新時代の哲学の種を撒く段になるととたんにアイルランドの自然の美しさとか語り出すのだから驚く。未来人が出てくると聞いて手に取ったのだが斜め上だった。SFっぽい部分については(ゲノム解析と利用についての認識がシンプルすぎるのは置いておいても)生物物理学的な解決法を使うとは上手いホラの吹き方で評価したい。
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2009年07月27日

「アーサー王ここに眠る」

フィリップ・リーヴ 東京創元社/sogen bookland

アーサー王伝説が、実は「マーリン」がイングランド統一の悲願ため世に流した一種のプロパガンダであったら、という物語。領主の屋敷をアーサー一味に焼き討ちにされ命からがら逃れた奴隷の少女グウィナは、吟遊詩人ミルディンに拾われ、何故か気に入られて弟子になる。襲撃と恐喝を繰り返しながら邁進するアーサーのブレインとして、「マーリン」と「湖の貴婦人」として、アーサーを王とするための伝説を作り上げていく彼らだが。
史実、異本、マビノギオンなど多様なソースを渉猟して「真相」をつづり、辻褄あわせは「だって最初から出任せだから」という身も蓋もない説明でけっとばす。とにかく面白くなるようエピソードを限界まで突っ込んであるのだから当たり前のように面白く、しかもメインは少女の成長物語なのでめっぽう面白い。矮小で場当たり的な出来事のツギハギがあの勇壮な物語になっていく様に舌を巻き、「ランスロットの裏切り」や「聖杯」のショボいんだけど人間味のある顛末にしみじみする。状況に翻弄されていたグウィナが、ミルディンの死を経て自分で物語りはじめる終盤はまさにヴィルドゥングスの王道。
蛇足。
というか大事なのは主人公のグウィナが男装して騎士団に混じっているという設定ですよ。脇を固めるのも、策士過ぎて常に行動が裏読みされ好意を受け取ってもらえないマーリンとか、女の子として育てられ騎士になってもヒロイン体質のパルジファルとか、リーヴ先生はじまってたんだな。そして『果たしてミルディンの人生に意味はあったのか/物語とは何か』という問いを提示しつつ希望を繋ぐ結末に、なんだかとても良質の二次創作的テクニックを感じてしまったのは自分だけですか。
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2009年07月26日

「予告された殺人の記録」

G・ガルシア=マルケス 新潮社/新潮・現代世界の文学

青年サンティアゴ・ナサールは殺された。村に紛れ込んだ大富豪バヤルド・サン・ロマルと、彼に見初められた少女アンヘラの村をあげての婚礼祝いの翌日、花嫁の兄弟たちによって「復讐」されたのだ。彼らは一日中ナサールを探して村を歩き回り誰彼かまわず殺人を宣言していたにも関わらず、結局殺されてしまう。ナサールの友人であったクリストは、二十年以上の過去に埋もれた事件の経緯を調べていく。
民族問題、貧富の差、戦争や政変の影響、あるいは個人としての自立、時代を作る状況は田舎の村であろうと分け隔てなく働いていてバヤルドのような闖入者の刺激によって神話的な(非人間的な)ドラマとして発現してしまう。という安易な要約をも取り込んでしまうよくできた話。小説と言うメディアならではの技法をフル活用している。ベースとして迫力に満ちたディティールの上手さ、「出来事」の作りの上手さがあり、その上で章ごとに割り振られた視点によって少しずつ全てを明らかにしつつ同時に違った物語としても見せていく構成があり、時間の流れと主観の壁の存在とそれに対して奮闘するクリストの存在も見える。バヤルドとアンヘラのパートを中心に絞って映画化されているらしいけど、確かにこれ全部は無理だよなあ。
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「忌まわしい匣」

牧野修 集英社/集英社文庫

前半から後半にかけて現実から遊離していくみたいな構成。結構既読が多かったのでSFマガジンと異形コレクションに書かれたものが中心だと思うが、初出が書いてないようなのではっきりしない。

「忌まわしい匣 1」(枠物語)
「おもひで女」 既読。しょっぱなからこれか。
「瞼の母」 隠遁する男を追う母親との確執。幻想味の乏しい話では、暗い蓄積を圧縮してみせる趣向を何度か使ってる気がする。
「B1公爵夫人」 既読。やっぱりキーワードの使い方がセンス。
「グノーシス心中」 狂人に誘われ旅に出る少年。
「シカバネ日記」 みんな既に死んでいると感じ、死体になってかえってリフレッシュしてみるみたいな話。変な爽快さがある。
「甘い血」 外国人排斥論者の青年は奇妙な少女に魅入られる。正体不明の怪奇ではなく、いかにも伝奇っぽい設定が出てくるあたりちょっと変わっているかも。
「ワルツ」 謎の音楽家に拾われ軟禁状態で暮らす女。壮麗な悪夢の喪失に寂しさを感じる。
「忌まわしい匣 2」(枠物語)
「罪と罰の機械」 既読。
「蜜月の法」 地球の抱く妄想を封じるため現れた奇妙な戦士たち。短篇とは思えない詰め込み方だ。月世界小説――(傀儡后)――物語域シリーズの系譜っぽい。
「翁戦記」 既読。まっすぐな退魔物で作品集の中で浮いてんじゃね。結構好きなので再読。
「<非―知>工場」 既読。
「電波大戦」 既読。狂気を植え付けた人間を駒に闘争する二体の超越存在。のはずなのに妙に人間臭く、乱発される造語もいい感じに適当。これも結構好きなので再読。
「我ハ一塊ノ肉塊ナリ」 既読。
「忌まわしい匣 3」…平和な日常に乱入した異形により奇怪な話を延々聞かされるハメになった若妻は物語により自身の現実も侵食される、という枠物語だったのさ。
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2009年07月25日

「S-Fマガジン09年9月号」

早川書房

栗本薫追悼
残念ながら栗本薫はさっぱり興味を惹かれない作家で、今回再録された作品を読んでもピンともこなかった。だから結局今後もそうなんだろう。ただ高千穂遙の追悼文(の最後)にすごさの片鱗を感じたり。というか作家にしか書けない追悼文ですごいなぁズルいなぁ。
「氷惑星の戦士」 氷惑星の原住民と植民者のいざこざに規格外の戦士ノーマンが巻き込まれて大暴れである。惑星アスガルンって北欧神話っすか先生。さすがひっかかりなく大暴れを楽しめるのだけどそれ以上は感じないのだ。
「遥かな草原に……」 放浪惑星で発見された大きなネズミのような宇宙人への追憶。こういう設定は何か自分が厭うところ。

読みきり
「求道に幸あれ」菅浩江 手段を厭わないモデルと人工に頼らないことに拘るアスリート。対比がちょっとかったるいけど連作の中で一旦テーマを総括する回だからか。美容から出発して技術による人間の変革と人間性の軸にまで拡げていく話、と。デザイナーズによる個人主義の押し付け合いとか(クレスとかが書いてるような)は今回仮定レベルで言及した以上には触れないのかな。まだ続くようなのでそのへんに注目。
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「ファンタジーへの誘い」

伊藤典夫・編 講談社/講談社文庫/海外SF傑作選・9

こっちは全体的に面白かった。
「死神よ来たれ」ピーター・S・ビーグル 死神を舞踏会に招待したマダム。残酷でありながら爽やかな不思議な話。
「不可視配給株式会社」ブライアン・W・オールディス 若い夫婦は、行きがかりで不思議な男と賭けをすることになる。意志を含めていかにして出来事に対処するかと言う話か。ところでitangibleは無形、非実体、触れられないものということだから、塩入れを動かさないことにかけてあるのかね。気のせいか。
「大いなる旅」フリッツ・ライバー 奇妙な生物たちと一体になって行進し、やがて旅立っていく。SF的言葉で綴る幻想。
「この卑しい地上に」フィリップ・K・ディック 既読。
「ふるさと遠く」ウォルター・S・テヴィス 既読。
「十三階」ウイリアム・テン 存在しない十三階を借りるテナントに翻弄されるマネージャ。テンは何か物足りない。
「闇の旋律」チャールズ・ボーモント 謎の旋律に誘われる堅物女教師。プレイボーイ誌初出ならしょうがないね!
「順応性」キャロル・エムシュウィラー 不思議な衝動を押さえ、一般人らしく暮らしてきた女の告白。正体がなんなのか結局よく解らないあたりが面白い。これ今なら母娘の確執とかそういうネタ交えるひといるんだろうか。
「街角の女神」マーガレット・セント・クレア 街角で零落したアフロディテと出会い世話をする男。切ない都会ファンタジー。
「みにくい海」R・A・ラファティ 既読。
「名前の掟」アーシュラ・K・ル・グイン 既読。
「きょうも上天気」ジェローム・ビクスビイ 超能力少年の残酷さと非常識に支配された村。あらすじは知っていたけどそういえば読んでなかったのだ。超能力の想像以上の万能加減に爆笑。いちいちディティールがグロテスクでよい。
「ゲイルズバーグの春を愛す」ジャック・フィニイ 既読。
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「不思議な国のラプソディ」

福島正実・編 講談社/講談社文庫/海外SF傑作選・6

まだ面白いやつは最近また再録されてたりする(そこで読んでる)せいか、未読だけ拾い読むと今一な印象になってしまうな。この巻のテーマが「驚き」「意外性」というかなり無理があるものだからかも。
「壁の中」シオドア・R・コグスウェル 既読。
「暴風雨警報」ドナルド・A・ウォルハイム 空気生物の侵略と攻防。
「反対進化」エドモンド・ハミルトン 既読。
「死都」マレイ・レンスター 南米のジャングルにオーパーツ発見の巻。宇宙人かと思ったらむしろ時間ネタだった。
「手品」フレドリック・ブラウン 既読。
「ここは地球だ」ウィルスン・タッカー 「ここは地球でしょうか」と尋ねられたところから始まる不可解な出来事。落ちないのかよ!
「真夜中の太陽」ロッド・サーリング 徐々に太陽に近づいていく地球の上で、熱気に苦しむ人々。それだけの話だけど雰囲気はいい。ただし雰囲気重視すぎて突っ込みどころは多い。
「奇妙な子供」リチャード・マシスン 帰宅途中に奇妙な記憶喪失に襲われた男。語りを捻ってあるので読める。
「くりのべられた審判」ウィル・F・ジェンキンズ マレイ・レンスターの別名義ですが。今度は南米のジャングルに知性を持つアリ群体発見の巻。
「静かに!」ゼナ・ヘンダースン 既読。
「最後の地球人」ジョー・L・ヘンズリー 地球を攻略し、数人の生き残りを連れて凱旋するアルクトゥルス人の宇宙船内でおこる怪現象。なかなか上手い。
「災厄」ローレンス・シアーズ 新聞記者と災厄を呼び寄せるらしい恋人。
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「魔術師が多すぎる」

ランドル・ギャレット 早川書房/ハヤカワ・ミステリ文庫

魔術の「才能」や原理が存在し、魔術師が学究や法曹の要職を占めるもう一つの現代。腕利き捜査官ダーシー卿は、いとこのロンドン候に巻き込まれ、部下の魔術師ショーンを連れて魔術のカンファレンスでおこった不可能殺人の謎に挑む。殺された魔術師が海軍の開発した秘密兵器に関わる研究者だったために事態は複雑なありさまになっていく。
万能でもなければ資材や準備がそれなりに必要で、さらには術者の「才能」が不可欠という魔術を科学捜査や話の展開に程よいレベルで活用し、国家や宗教的にも複雑な事情をもった人物たちが関わりあう展開は筋を追うので自分には精一杯。しかもフー・ハウ・ホワイの三つをすべて解くだけじゃなく叙述レベルでのトリックもあるのでもはやすげーすげーとか言いながらただ煙に巻かれっぱなしな気分に。このへんミステリで苦手なところ。というわけで超常的な設定のもとで起こるミステリのバリエーションとして、これは中々のものではないだろうか。いやミステリはよく知らんのですけど。
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2009年07月24日

「七番目の出来事」(短篇)

monkey business vol.6 箱号
リチャード・パワーズ

パワーズらしき作家の綴る、元生物学者であり批評家だった親友と彼女の提示した問いについて。作家と文学にできること、「大きな物語」の範囲について、ヒューマニズムに閉じこもって人間が消費していく自然の存在を無視しつづけるのか、美しい野生動物や利用可能な天然資源のような皮相な部分ではない『自然そのもの』については語りえないのかと問う。
自然科学を勉強したものとして、ここで苦言を呈されるヒューマニズム批判には色々(漠然と)思うところはあり、思考を受け付けない自然のスケールに(漠然と)うなずくところあり、あともちろん本を読むのを好む人間として物語の意義にも(漠然と)思うところはあり。「四肢麻痺の入院患者に、窓の外の驚異を語り聞かせる心臓麻痺の患者」という例え話が出てくるけれど、彼女を亡くし希望のない壁に立ち向かうことになったパワーズは何を物語れるのか、精神のない自分たちは何の物語を聞くのか。厚みに腰引けてたけど面白い作家だな。
posted by 魚 at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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