2009年07月06日

「ZOKURANGER」

森博嗣 光文社

 民間研究所から大学の准教授に転職した品川は、研究環境改善委員会の委員をすることになる。ところでこの委員会、何故かそろいのコスチュームがあるのだった。
 というわけで戦隊ものパロディでかつ「大学もの」らしいという話を聞き、主に大学ものの部分に惹かれて読んだ。「黄色の背信」「桃色の励起」「青色の有閑」「緑色の品格」「赤色の研究」という構成で、各章ごとに委員会の五人のメンバーが各人の主観で整合性を微妙にスライドしあいながら日常への違和感と委員会への興味を並べていく。ただあまり振れ幅がないというか、確かにどれもあるあるなんだけど、身近にあるある過ぎてちょっと面白みに欠けた気がした。「科学の基礎研究なんて夢やロマン以上の意味なんてあるわけないんだからそれを『トクサツ』というより解りやすい夢・ロマンでコーティングすればおk」というオチは、順番がおかしいというか、よくこんな適当なので小説書けるなーと脱力。まぁこれはこれで。
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「聖女チェレステ団の悪童」

ステファノ・ベンニ 集英社

イタリアをモデルにしたであろう架空の国グラドニアの片隅にしょぼくれた孤児院が一つ。そこに暮らすメモリーノ、ルシフェル、アリの三人は、アウトロな子供たちが彼らの守護者「大いなる厄介者」の庇護のもと秘密裏に行うというストリートサッカー大会のエントリー権を獲得、孤児院を脱走し会場とメンバーを探すためにグラドニア中を走り回る。教会の地下墓地、失業者の集う裏町、大ファーストフードショップ、混沌のビーチ、マフィアの夢の跡……ようするに現代欧州(多分特にイタリア)の問題を物語に落とし込んだカリカチュア巡りであり、イタリア崩壊の予言そのもの。
ストリートサッカーの存在を嗅ぎつけたメディア王が新しいトレンドにするべく軍を動かすと、後はもう一切容赦のない展開が続く。ジュブナイルみたいなものかと思って読み始めたので、中盤以降あからさまにドぎつくなっていくあたりから平静では読んでいられなかった。予言の発端であり、あちこちで顔を出し奇才を発揮する芸術家ペリコルティ一家とか、あと肝心のストリートサッカーとか、素直に面白がれる要素もちゃんと入っているのが上手いところだ。しかしこのメディア王のキャラにあからさまなモデルがいると言うのはすごいし、この本がベストセラーになったというのはもっとすごい。イタリアやばい。
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2009年07月04日

「コップとコッペパンとペン」

福永信 河出書房新社

「コップとコッペパンとペン」 ある一族三世代を軽やかに繋いでいく。よく解らないけど改行したらいきなり死んでたり子持ちになってたりする展開の緩急や、全然謎に踏み込まない距離は面白い。よく解らないけど。
「座長と道化の登場」 デパートを舞台に、更衣室とトイレで見知らぬ他人に距離をつめられてあせる二人。よく解らない。
「人情の帯」 公衆電話を使う女子高生と小学生の交差しない二人の一日。遍在するようでポケットの中については留保するなど、微妙に限定された神の視点による記述が興味深い。けどどういう話なのかはよく解らない。
「2」 「人情の帯」の裏側で、二つを繋ぐようだけどよく解らない。
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2009年07月02日

「恐怖のハロウィーン」

アイザック・アシモフ編 徳間書店/徳間文庫

ダジャレのはずの台詞が日本語崩壊してるぞと思ったら……仁賀である。
「ハロウィーン」アイザック・アシモフ ダイイングメッセージ「ハロウィーン」の謎解き。
「いまわしい異種交配」ウイリアム・バンキアー 畑に埋めた死体と因果応報物語。
「ハロウィーンの殺人」アントニー・バウチャー ハロウィーン、厄介者の男が殺された。犯人探し。
「十月のゲーム」レイ・ブラッドベリ 既読。有名なアレ。
「ハロウィーン・ガール」ロバート・グラント 怪奇的なものを好む子供たちのジェントルゴーストストーリイ。イイ話。
「吸血鬼の日」エドワード・D・ホック 地方の選挙と猟奇殺人鬼スキャンダル。
「小鬼の夜」タルミジ・パウエル 母を乱暴な恋人と分かれさせたい少年の策。
「死んだネコの事件」エラリイ・クイーン パーティの余興で起き殺人事件。
「パンプキン・ヘッド」アル・サラントニオ 内気な子の語る「パンプキンヘッド」の話の真実。
「輪廻」ルイス・シャイナー 怪談会に届けられた原稿の起こす怪異。
「万霊節前夜」イーディス・ウォートン館もちの婦人が怪我をした翌日目覚めると、いるはずの使用人が誰もいなかった。
「昨夜の魔女」ゲイアン・ウィルソン 魔女と言われていた老婆は子供たちに優しくお菓子をくれたが。
「今年の生贄」ロバート・F・ヤング ついてない青年は自称・魔女見習いに危険を警告される。さすがヤングというようなほのぼの話。猫以外は。
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「超弦領域」

〜年刊日本SF傑作選
東京創元社/創元SF文庫

法月綸太郎「ノックス・マシン」 前半はよいけど後半がちょっと普通。
林巧「エイミーの敗北」 大した話では無いけど何か雰囲気が好き。
樺山三英「ONE PIECES」 大体いつもの樺山。物足りない。
小林泰三「時空争奪」 時間ものの定番を逆手に取った新アイデア。
津原泰水「土の枕」 全然SFじゃねーしそもそもSFにこじつける必要もない名短篇。
藤野可織「胡蝶蘭」 植物のようなしずかな心。
岸本佐知子「分数アパート」 必死ちゃん……。
石川美南「眠り課」 エッセイといいアンソロジーとしてのこの手の趣向はあまり好きじゃないけど作品自体はまぁ案外悪くない。
最相葉月「幻の絵の先生」 「土の枕」にガジェットが被ってる気がする。
Boichi「全てはマグロのためだった」 「鼠のガン治療薬」の喩えが実は裏返しなのがポイントか。
倉田英之「アキバ忍法帖」(イラスト・内藤泰弘) イラストまであってこの作品だよな。
堀晃「笑う闇」 漫才をインターフェースに未知との接触。
小川一水「青い星まで飛んでいけ」 いつも楽しそうなネタの割に何でか楽しくない。
円城塔「ムーンシャイン」 チューリング・テストへの気の利いた例え話みたいな面が見える。
伊藤計劃「From the Nothing, With Love.」 資源化され消尽する人間というところで『ハーモニー』と、そして「屍者の帝国」と繋がってたのかも。
posted by 魚 at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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