ドナルド・A・ウォルハイム&テリー・カー 編 早川書房/ハヤカワ文庫SF<285>
うーん、これがThe World's Best Science Fiction 1966なー。ちょうどニューウェーブが始まったころじゃなかったっけ?
「太陽からの風」アーサー・C・クラーク 既読。
「時計じかけの医者」ロン・グーラート 見舞いに訪れた病院に入院させられた男。ロボ医者がいい味出している。
「地獄で立往生」ラリイ・ニーヴン 既読。
「居留区」ヴァーナー・ヴィンジ 戦争により北半球の諸国家が壊滅した未来、南極で発見された人々のルーツとは。解説には政治的スタンスによりアナログ誌にはウケなかったと書いてあるけど、アナログが保守っていうよりこの短篇の表現はさすがに直截すぎるっていうか。ギャグ?
「河を渡って木立をぬけて」クリフォード・D・シマック 田舎暮らしの老夫婦を訪ねてきた見知らぬ子供たち。シマックの代名詞である田舎が横溢している。他の時代・他のSF作家なら別に田舎にしないだろうに、田舎。
「忘却の惑星」ジェイムズ・H・シュミッツ いくら昔のSFだからと言って、タイトル作品でまさか惑星間国家が秘密レポートの書類入れを巡ってスパイごっこしてるとは思わなんだ。しかもSFとは関係ないどんでん返しも仕込んであるとか、これはむしろ新鮮。
「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」ハーラン・エリスン 既読。
「決断者たち」ジョゼフ・グリーン 地球の植民地対象になった惑星の原住民との交渉。今読むと環境改造計画の大雑把さに笑ってしまう。ていうか最初から地球みたいな環境なのに。
「旅人の憩い」ディヴィッド・I・マッスン 場所によって時間の流れ方の違う世界で暮らす人々。設定押しだけど結構よかった。
「未収録作品」リン・カーター シェイクスピアを打つサルを曲解したホラ話。
「消失点」ジョナサン・ブランド 宇宙人との会談のために作られた小世界の秘密。若干無理がある気もするが語り口や設定の捻りはちょっと楽しい。
「うちの町内」R・A・ラファティ 既読。
「赤色偏移の仮面」フレッド・セイバーヘーゲン バーサーカー退治の英雄を巡り、陰謀家の王とバーサーカーの板ばさみになった宇宙船の船長の話。だから別に宇宙じゃなくてもよいような話を。
「とらわれの魔神」クリストファー・アンヴィル 異星人に収監された地球人が(理科実験レベルの)策を弄して脱獄する話。笑い話にしても色々ぞんざいすぎるような。
「新しき良き時代」フリッツ・ライバー 複数の職業を持つことがステータスである未来、ダメ人間揃いの兄弟と彼らを叱咤激励する母。卑近でスラップスティックなノリなのでそれほど古くない。