2008年10月31日

「S-Fマガジン90年4月号」

早川書房

日本之肖像 ジャパネスクSF特集
「不動の人間山岳巌魑庵」ハワード・ウォルドロップ 超能力で闘う禅相撲の力士の話。相手の精神の動揺をさそい、睨み合うだけで土俵外まではじき出す。こういうネタは日本人がやるより面白いことが多い気がする。いかめしい雰囲気で微妙に意味不明なシーンが連なるのが楽しい。でも葛屋敷はねーな。
「銀座の恋の物語」イアン・ワトスン 既読。
「標的はベルリン! ――空軍フォードア・ハードトップの役割」ジョージ・アレック・エフィンジャー 第二次世界大戦が30年代末ではなく70年代の石油危機で起こっていたら、という仮定の改変歴史もの。これが想像以上の傑作。石油不足⇒戦闘機を飛ばすのは不経済的⇒自動車を改造して戦闘機にしよう。その結果、トヨタとホンダの大群が真珠湾を強襲し、ベルリンに向かう高速でフォルクスワーゲンとフォードが激戦を繰り広げる。エフィンジャーすげえ。しかも「原爆は正義だったか」というテーマがあってそれの処理も手際がいい。とにかくすごいものを読んだ。
「ジョージア州クズ・ヴァレー、ユキオ・ミシマ文化協会」マイクル・ビショップ 大学を追放され田舎町に越してきた元比較文学の教授が、何の気なしに話したユキオ・ミシマに村中が傾倒していく話。多分そうなるんだろうなーというオチまでしっかりやってくれました。ウォルドロップもそうだけど日本といえばクズなのか。
「バク」エドワード・ブライアント かつて爆撃機の乗員だった男が原発建設を巡って過去の悪夢をみる話。その掛詞は上手いけど、なんかちょっともにょる。原爆と原発を一緒にするのか。もにょもにょしてしまう自分もよく解らない。
「花のなかであたしを殺して」 中井紀夫 独自の生態と文化を発展させた人類の末裔たちの話。野球のイジり方が上手いなあ。全体はなんとなく物足りないような気がする。
posted by 魚 at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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