2009年05月17日

「昨日のように遠い日」

〜少年少女小説選
柴田元幸・編 文藝春秋

面白かったのは「おとぎ話」「猫と鼠」「パン」あたり。

「大洋」バリー・ユアグロー 庭に大洋を発見した弟と父親の軋轢。瞬間で状況を作ってしまう手際がやはりすごい。
「ホルボーン亭」アルトゥーロ・ヴィヴァンテ 子供のころ訪れたイギリスのあるレストランをありありと覚えているが、家族たちには取るに足らないことだったらしい。
「灯台」アルトゥーロ・ヴィヴァンテ イギリスで遊びに行った灯台を一年後も訪れたが、灯台守には自分がわからなかったらしい。二編とも周囲の大人との認識の相違を使って記憶の美化をしているみたいな話かね。
「トルボチュキン教授」ダニイル・ハルムス ここから五編はハルムス。〇五―四二、ソ連のアヴァンギャルド芸術家。雑誌編集部を訪れた教授は様子がおかしかったという話。
「アマデイ・ファラドン」「うそつき」ナンセンス詩歌。
「おとぎ話」 サイレントなスラップスティックを落とし込んだ御伽噺がいちいち楽しい。
「ある男の子に尋ねました」 小咄。
「猫と鼠」スティーヴン・ミルハウザー ミルハウザー式トムとジェリー。ひたすらの描写が不思議な領域へ。でもどこが少年少女小説?
「修道者」マリリン・マクラフリン “拒食症”の少女は祖母に預けられまったりする話。
「パン」レベッカ・ブラウン 寄宿学校のカリスマ「あなた」と私たちのパンをめぐる儀式。
「島」アレクサンダル・ヘモン サラエボからムリェトを訪ねた少年の戸惑い。
「謎」ウォルター・デ・ラ・メア ひとりひとり消えていく子供たち。隠喩のような何か。不穏不穏。

付録
「眠りの国のリトル・ニモ」ウィンザー・マッケイ あちこちでちょっとずつ見る。一冊で通して読んでみたいが。
「ガソリン・アレー」フランク・キング これもそれなりに知られた新聞漫画らしい。
posted by 魚 at 13:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「リトル・ニモ」いっそ原書で読めば。
(邦訳版は古書価が高いし、作品が網羅されているわけじゃないから)
いま、入手しやすく、収録作品が多い原書は
Little Nemo in Slumberland: So Many Splendid Sundays
Little Nemo in Slumberland: Many More Splendid Sundays
の2冊だと思います。
パッと調べた限りでは、それぞれ次の書店で割引がリーズナブルかと。
http://www.amazon.com/Little-Nemo-Slumberland-Splendid-Sundays/dp/0976888556/ref=pd_sim_b_1
http://budsartbooks.com/prod.cfm/pc/LTTH/cid/38
まあ、それでも定価が高いからね。
じつはぼくも買うのを躊躇しています。




Posted by 牧眞司 at 2009年05月21日 07:06
情報ありがとうございます。
図書館に無いかくらいの考えでしたが、こうしてみるとほしくなります。でも原書にしても全作品網羅されてるわけではないんですね。それにお高い。画本にしてもこれは…。
Posted by 魚 at 2009年05月21日 22:38
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