2009年05月21日

「アッチェレランド」

チャールズ・ストロス 早川書房/海外SFノヴェルズ

 常に世間の先を行き、ばら撒く発明のお返しできままに生きる天才肌のギーク、マンフレッド・マックス。彼の元婚約者パメラは国税局の取立人、崩壊しつつある合衆国及び世界を憂え、マンフレッドを社会的・経済的に縛ろうとする保守主義者。二人の対立、あるいは対立する二人は娘とペットロボットに大きな影を落とし、その影は徐々に大きな混沌を太陽系全体に巻き起こしながら子孫へと波及していく。

 というのはとりあえず一面であって、サイバーパンクの子孫として始まりシンギュラリティの到来と共に太陽系開発ものに、そして遠未来ものにと繋がっていく何でもありSF。『スキズマトリックス』ってこういう話だったかなぁ。宇宙人の商人とか出てきたし。
 第一部・始祖、第二部・子、第三部・孫(と曾孫)と言う構成になっているわけだけど普通の「世代もの」と違って抗老化や人格アップロードの技術があるため、登場人物は入れ替わることなく蓄積されていく。各人相互の印象もバラバラな上に変化していくし、各人の世界観・人物観も相対化され続ける。頭の中は最初のマニーvsパメラのハッキリした配置からどんどんグレーのごちょごちょにもつれていく。各パートが長編一本分くらいあるので所要時間的にもしんどく、さらに三分割された章ごと10年時間が飛ぶせいで人間関係の変化に付いて行くので大体精一杯。第一部を読み直したのを若干後悔。こんなにしんどくなるとは思わなかったからな。ただまぁ混乱させられまくったおかげで収束する最終章ではそれなりにカタルシスを感じられた。演出:猫に感謝。二部中盤〜三部中盤がしんどかったなぁ。要するにアンバーがしんどい?
 感想としては何故か第一部が一番面白いような……まだしんどくなかったからだろうか。身近さと突飛さのミスマッチが楽しいからかも知らん。とりあえずロブスターといい、ロブスター人間といい、ナメクジといい、オランウータンといい。ストロスの人のガジェットセンスは変でいいなぁ。
posted by 魚 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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