2009年05月24日

「S-Fマガジン09年6月号」

早川書房

スプロール・フィクション特集X
もう五回目か。
初回は戸惑ったものだけど今では大体どういったものを紹介したいか解ってきた気がするので結果としてラベルと特集の意味が解らなくなりつつある。普通の読みきりとして載せていけばいいじゃない、妙に多い連載連作の類をちょっと整理してさ。
とりあえず小説はともかく小川隆がアンケートした「SF界における世代を巡る論議」が面白かった。アンケートという形式の常として回答内容そのものより誰がどの質問を重視しているかという差分が重要よね。この論点だと特に。要するに、長文乙>ローゼンバウム

「名高きものども」クリストファー・ロウ
洪水ののち世界が復興するまで眠りに付いたネフィリムたちの話。
聖書ネタを使った愉快話。もう一つくらいでかいネタと変なネタがあれば楽しかったのだけどこれだと安易というか便利なだけのようで物足りぬ。

「蝶の国の女王」ホリー・フィリップス
国外で誘拐された恋人を待つ作家の話。
切実な状況におけるフィクションの力、大抵は子供だったりするのだけどこれは作家自身に向かう。そしてそれを信じきれないというような話か。レトリックが肌にあわなくてちょっと残念な気持ち。

「都市に空いた穴」リチャード・ボウズ
9.11後のNYで、帰ってきた死者たちを目撃する中年。
いや中年よりもうちょっと上なのか? 9.11をあくまで個人的な過去と現在を重ねる契機に使う。でもそれで出てくる話は9.11でゴーストストーリイをやる、という以上にはピンとこない。

「ローズ・エッグ」ジェイ・レイク
EGG(エッグ)と呼ばれる装置を巡るストリートギャングの友情話。
ただそういう話にしか見えない。ベニーはさすがにちょっとイラッと来る系のベタさ。

「星の香り」菅浩江
ビッキーとの契約交渉に赴いた香水メーカーの社員は何故か育ての親のことを思い出す。
ネタとテーマと状況をくくるのが上手いなぁと思う。連作の五作目。大体大枠と流れを見せ始めたのだろうか。小粒気味なのがどう纏まるんだろう。
posted by 魚 at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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