2009年05月26日

「S-Fマガジン09年7月号」

早川書房

劇場版「スター・トレック」公開記念特集/伊藤計劃追悼。
ではあるけれど宇宙大作戦には興味ないので追悼特集号気分。
表紙のひとがよかった。こういうトボケた憂鬱な雰囲気好きだわ。

「屍者の帝国」伊藤計劃
フランケンシュタインによって確立された屍体蘇生技術が隆盛をほこる十九世紀英国、医学生ワトスンはヘルシング教授に見出され諜報機関にスカウトされる。
試書きされた長編の冒頭。物語は始まってすらいない雰囲気だけなのに、とても好みでただ無念。たぶんあとで変えられたんだろうが、非線形制御とか『不気味の谷』とかしれっと使ってしまう無造作さが好きだ。

寄せられた追悼文はどれもハイテンション(とくに円城塔)で喪失感の大きさにただ呆然とするだけなのだけど、佐藤哲也だけ妙に普通でしかも面白い。その上、隣ページの篠房六郎のと掛け合いになってしまっている。なんということ。

「齢の泉」ナンシー・クレス
人生から奪われた恋人の形見を求め、元悪党の大富豪は年甲斐もなく大暴れ。
爺さん元気やなぁ…頭がしゃっきりしてるのはええことだよね。さておき各伏線の回収先が思ったよりこじんまりした感じで、長さの割りにあわない気分。息子に関わる部分の記述は何かくだくだしい。

「無可有郷だより」樺山三英
川を遡り誰も知らない理想郷を探すものたちの断章。
ユートピア連作の五本目。題材の抽出とアレンジがうまいなぁと思う。今回は六つの連結しない掌編六つと枠からなる。しょっぱなの鰻の生態と、水棲の美女を漁る詩人たちの話が印象に残っている。
posted by 魚 at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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