2009年06月18日

「この不思議な地球で」

〜世紀末SF傑作選
巽孝之=編 紀伊国屋書店
こういうポストモダン/サイバーパンクSF系統が好きらしい。前半はちょっと古い気がしていたが、後半の幻想風味がかなりツボだった。

「スキナーの部屋」ウィリアム・ギブスン 倒壊した橋にバラックを組み上げ暮らす人々。新三部作の一部になったんだっけ。
「われらが神経チェルノブイリ」ブルース・スターリング 『グローバルヘッド』で既読。
「ロマンティック・ラヴ撲滅記」パット・マーフィー 近代における恋愛という観念の流行をウィルスで説明する。どうせなら神経生理とか共進化とかまで広げてほしかった。
「存在の大いなる連鎖」マシュー・ディケンズ あらゆる機器に潜入するコンピュータウィルスの驚異。何かすごく素朴でファンタジックな…最後の最後の雰囲気はよいけど悪い意味で古い。
「秘儀」イアン・クリアーノ ある異端の神学者の思想について。偽史ファンタジーの雰囲気は好きだな。カッパドキアいいね。
「消えた少年たち」オースン・スコット・カード 息子の「想像の友人」たちはどうやら近隣で失踪した少年たちらしい。ダークな雰囲気とハマった隠喩がよかったけど、最後に優しい話になると却って居心地悪い。あとがきまで含めると安易に面白いとは言いにくいけど面白い話。
「きみの話をしてくれないか」F・M・バズビー 屍体娼館を訪れた男の出会い。かなり一発ネタではあるがききまくった皮肉が強烈。
「無原罪」ストーム・コンスタンティン 電波系な美少女と彼女を撮影する仮想現実デザイナーの奇妙な交流。こういうガジェットを上手く使ったちょっとグロテスクな奇想幻想譚がかなり好きらしいと最近解ってきた。色々釈然としないが雰囲気がよいから好き。
「アチュルの月に」エリザベス・ハンド 男性性と女性性が緊張を持って対峙する宇宙ステーションに現れた人工奴隷。題材を率直に使っているが、磨耗しつつある人工環境の雰囲気や、少年の愚かしい奇跡などが綺麗でいい。フェミニズム/性SFは論はよくわからないけどグロテスクだったりシュールリアルなイメージが出てくる楽しいのが多い気がする。
「火星からのメッセージ」J・G・バラード 初の火星有人着陸をなしとげた宇宙飛行士たちは、無事帰還したものの宇宙船から出てこない。バラードがかもし出す素材的で破滅的な風景は好み。
posted by 魚 at 05:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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