2009年07月26日

「予告された殺人の記録」

G・ガルシア=マルケス 新潮社/新潮・現代世界の文学

青年サンティアゴ・ナサールは殺された。村に紛れ込んだ大富豪バヤルド・サン・ロマルと、彼に見初められた少女アンヘラの村をあげての婚礼祝いの翌日、花嫁の兄弟たちによって「復讐」されたのだ。彼らは一日中ナサールを探して村を歩き回り誰彼かまわず殺人を宣言していたにも関わらず、結局殺されてしまう。ナサールの友人であったクリストは、二十年以上の過去に埋もれた事件の経緯を調べていく。
民族問題、貧富の差、戦争や政変の影響、あるいは個人としての自立、時代を作る状況は田舎の村であろうと分け隔てなく働いていてバヤルドのような闖入者の刺激によって神話的な(非人間的な)ドラマとして発現してしまう。という安易な要約をも取り込んでしまうよくできた話。小説と言うメディアならではの技法をフル活用している。ベースとして迫力に満ちたディティールの上手さ、「出来事」の作りの上手さがあり、その上で章ごとに割り振られた視点によって少しずつ全てを明らかにしつつ同時に違った物語としても見せていく構成があり、時間の流れと主観の壁の存在とそれに対して奮闘するクリストの存在も見える。バヤルドとアンヘラのパートを中心に絞って映画化されているらしいけど、確かにこれ全部は無理だよなあ。
posted by 魚 at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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