2009年07月24日

「七番目の出来事」(短篇)

monkey business vol.6 箱号
リチャード・パワーズ

パワーズらしき作家の綴る、元生物学者であり批評家だった親友と彼女の提示した問いについて。作家と文学にできること、「大きな物語」の範囲について、ヒューマニズムに閉じこもって人間が消費していく自然の存在を無視しつづけるのか、美しい野生動物や利用可能な天然資源のような皮相な部分ではない『自然そのもの』については語りえないのかと問う。
自然科学を勉強したものとして、ここで苦言を呈されるヒューマニズム批判には色々(漠然と)思うところはあり、思考を受け付けない自然のスケールに(漠然と)うなずくところあり、あともちろん本を読むのを好む人間として物語の意義にも(漠然と)思うところはあり。「四肢麻痺の入院患者に、窓の外の驚異を語り聞かせる心臓麻痺の患者」という例え話が出てくるけれど、彼女を亡くし希望のない壁に立ち向かうことになったパワーズは何を物語れるのか、精神のない自分たちは何の物語を聞くのか。厚みに腰引けてたけど面白い作家だな。
posted by 魚 at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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