2009年08月21日

「光の王」

ロジャー・ゼラズニイ 早川書房/ハヤカワ文庫SF<1512>

遥か未来、地球を捨て異星に移住した人類。入植第一世代たちは超技術と超能力を駆使する神となり、ヒンドゥー教の神々の役を演じることで子孫たちと、その文明を管理支配していた。しかし彼らのうちの一人、サムがシッダルタとしてその方針に異を唱え、民衆を救済するべく立ち上がった。神々の壮絶なる戦いの幕開けである。
策士サムが神々相手にあちらこちらでやりあう痛快ストーリーであり、ヒンドゥー教の用語で見立てられた超能力と超科学、SFガジェットの炸裂するジャンクなアクション。翻案と呼ぶのも自由すぎる翻案はヒンドゥー教原典とも日本での理解とも異なるため、神様の名前とキャラを把握するのはちょっと面倒だが、ゼラズニイの格好良く、そして濃厚な筆致でもって「まさに神々」としか言いようのない無茶な存在感とキャラ立ちが描き出されるので素直に楽しめば、間違いなく楽しい。原住民であるエネルギー生命体「羅刹」族の長はイカすし、参謀であるガネーシャの小物加減は笑ってしまう。真打は最初の敵であり第一次戦争後は味方になるヤマ(閻魔)様。神々の技術顧問であり、武術の達人であり、オマケに死の魔眼持ちであるから、その主人公食いっぷりは半端なものではない。彼がサムの作った仏教教団を襲撃するあたりが一番楽しかったかもしれない。そもそもなんでヒンドゥー教なのよ、というところは突っ込んではいけない。最終決戦には、主流派から離反し僻地で王国を作っていたキリスト教原理主義者(ちなみにゾンビ使い)が参戦し三つ巴になるのだけど、さすがにこのへんまでくると若干消化不良っぽくもあるのだ。
posted by 魚 at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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