2009年08月26日

「砂漠の惑星」

スタニスワフ・レム 早川書房/ハヤカワ文庫SF<273>

遭難した宇宙船コンドル号の調査のために、砂漠の惑星に赴いた無敵号。バリアや戦車を積んだ戦闘艦をボロボロにし、乗組員たちを狂死させた未知の脅威とは果たして何なのか。
脅威の黒雲が渦を巻き、核武装戦車が咆哮するSFなスペクタクルをエスカレートさせる一方で、副長・ロハン君が老獪な司令や科学者たちと軋轢しては葛藤し、人間と砂漠の惑星の「最終決戦」に一人で挑むように仕向けられていく。この心理描写と構築がまさに巧みであり、テーマを語る技術に舌を巻く。客観的には最初から最後まで砂漠の惑星に人類は押されっぱなし、ただ現場調査や二次遭難の救助をしているだけなので防戦ですらないのだけど、最後には感動が待ち受けている。精神論ではなく実のある人間の勝利。この機械たちは多分「ソラリス」の海と「ピルクス」が巻き込まれる事故をブリッジするもので、立ち向かうべき「未知」の陥穽は人類が人間として処理すべき事件一般である、という方向を示していると思う。さておき、闘争による機械たちの直線的な発展を生物学っぽい雰囲気で「進化」と呼ぶのはちょっとひっかからなくもないんですが気にしすぎか。
posted by 魚 at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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