2009年09月08日

「選挙のパラドクス」

――なぜあの人が選ばれるのか?
ウィリアム・パウンドストーン 青土社

「アローの不可能性定理」とやらを知ったので社会選択理論というらしいそのへんをまとめた本っぽいので借りた。ただ実際は不可能性定理は最初のほうで済ませ、いかに選挙戦略に左右される状況が多いか、それに左右されない「満足のいく」投票方法がないかを検討していく。理論より、お話し仕立ての事例紹介が多め。いかにスポイラーが印象的な問題であるか、またフランス革命から現在まで「コンドルセ勝者」の概念が呪いのような固定観念として支配してきたかにウンザリすること請け合い。
 色々回り道があるが結局、不可能性定理はランキング式投票についてのものだから別の評価方法、別の投票方法を探ろうぜ!となり、選挙シミュレーションを「回避可能だったと予測される不幸」を表すベイズ後悔(Bayesian regret)という量で比較する……という力技をもって『範囲投票』(点数式の評価)に軍配をあげる。例示される一シミュレーション(投票者200人、候補者5名、イデオロギー的論点二点)では、一般的な相対多数式投票は大体半分くらいのベイズ後悔値。つまり現在のアメリカ民主主義において、後悔度は最悪から半分まで削減された。で範囲投票なら、それを四分の一以下にもできるとか。まさかこういう方向の研究を使って結論になるとは思っていなかったので、鮮やかで上手いことやられた気分。
posted by 魚 at 09:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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