勉強の後読み出したゲイマン「アナンシの血脈」が面白くてついつい完読してしまった。ついつい徹夜で一気読みとか、こんなことするのも久しぶりだ。
ツボを抑えた上手い書き方なんだが、上手すぎると言うか、ちょっとキレイすぎるというか。文体が淡白なのかな。アナンシにまつわるエピソードが絡む上巻の語り口は面白いけど、怒涛の結末に向かって走り出す下巻はムダが少ない分そういう楽しみ方はできないか。読んでる間はおもしろさのあまりに、そんなの気にもしないんだけど。没個性とは言わんが映画的。情景が一々映画的。鳥の群れとか。スパイダーが少し人間らしさを身につけて、チャーリーも自信ていうかふてぶてしさを身につける、という決着だったのはやっぱりというか想像通り過ぎる。最後に神話世界の原型たちに向かって歌いかけるってのもなぁ。ディナーショウの見せ場は好きなんだけど、これはきっと好みの問題。
超自然要素の使い方、イメージの扱い方は好き。動物人間とか、泥の蜘蛛とか。キャラはデイジーと幽霊の老婦人が好き。全体的にキャラ付けとかそういう魅力は薄いんだけど。