漱石の「夢十夜」を一編ずつ十人の監督が映画化するという趣向。しかし、みなさん夢ネタだからといってメタや不条理に走りすぎだと思う。もっと素直にやっていいんじゃないの。まぁ一番素直に幻想な第七夜はそんなに好きじゃないんだけど。自己言及とホラーのバランスが上手い「第三夜」、不条理ホラーなら「第五夜」の雰囲気が好きで、一番解りやすいストーリーがあって面白いのは「第十夜」かな。僕の好みでは。とくに第十夜は漫☆画太郎の脚色らしいけど、画太郎の漫画にしか見えなくて困った。帰ってきてから原作を読んだけど、元から充分不条理ギャグっぽいんだね。レトロな街で失くした思い出を辿る「第四夜」はありきたりかなと思ったけど、オチとかの雰囲気は好き。「第六夜」は2ちゃん語のネタがなんか微妙であまり好きじゃなかったが、原作と対照するとアレンジは上手いか。不条理な投げっぱなしっぽいオチがちょっと上手いシャレに。悟りを得ようと焦る「第二夜」は、原作のほうが内面の焦燥がよく伝わってきて面白い気がした。プロローグエピローグは雰囲気があってない気がしたなぁ。
18日。「プレスリーvsミイラ男」 どう考えてもB級なバカ映画っぽいのに、カップルで来てる人たちが予想以上にいて驚いた。それともカップルこそこういう映画にいくものなのかな。解らない。さらに女性の二人連れで来てる人らさえいて、何者かと思った。それとも女友達同士だとこういう映画にいくものなのかな。解らない。
内容はあまりのにも原作そのままって感じでちょっと困った。原作だけで充分と思う人は結構いそうだな。まさかあの呪文までそのままやるとは思わなかった。追加された回想シーンは語り手の「曖昧さ」を減らしてしまっている気がして、あまりいいとは思えなかった。あとスカラベのチャチさには笑いそうになった。目まぐるしく切り替わるカットを導入して、まどろんでるボケ気味老人の内世界を表現するのは面白い。でもあのミイラのバックボーンを暗示するカットは別になくてもいいんじゃないかなあ。そういえばムダに爆発するトレーラーハウスは笑いどころなのだろうか。馬鹿馬鹿しくて面白かったけど。
タイトルからしてB級パロディを意識してるっぽいな。すると「次回作はババ・ノスフェラトゥ!」ってのもネタかな。それとも本当にあるのか?
21日。「ナイト・ウォッチ」 これはDVDをレンタルしてきた。返却日ギリギリになってしまったので慌ててみる。たかが二時間といえど、いつでも見れると思ってたら中々見れないなあ。二度寝とかしてたらあっというまな時間なのに。
映画は見ごたえがあったけれど、やっぱり映画館で観るべきだったなあ。「ユメ十夜」とかよりよっぽど。うちの画面じゃちょっとショボい。あと下敷きになっているのが三部作の第一部、そのさらに三分の一だから、何か色々引っかかるものが残りすぎだ。色々な説明を上手く省いていると思うけど、映像効果が凝りすぎてるせいで何が起きているのかよく解らないシーンもあるし。あと災厄の乙女の扱いが軽いなぁと思った。派手なんだけど、ストーリーからしてメインじゃないのが丸わかりというか。
原作からアレンジしてある部分は後々どう影響していくのかなぁ。というか原作の二作目はいつでるんだ。