2007年03月04日

「僕僕先生」

仁木英之 新潮社

 唐代中国を舞台にしたファンタジー。ニート青年王弁が、美少女の姿をした仙人僕僕とあちこち旅する話。
 とりあえず飄々とした僕僕先生が可愛い。過剰に記号化されないキャラクター付けが読んでて楽しい。それと唐代中国の歴史考証が読みどころかな。武則天とその後の皇帝による平和な民衆の治世、グローバルな中華文化圏の雰囲気が感じられる。時代背景の解説が詳細すぎて気持ちつっかえるところがあったけど、そんなに問題じゃないか。
 ただ、全体の話が面白いかというと微妙。何か目的のある「旅」をしているのだから、その目的が話の主眼にくるかと思いきや、別にそうでもない。それに「旅」もあまり「旅」らしい感じはしない。旅先で色々な神や仙人にあうけど、その見せ方にもあまり捻りがない。人間が力をつけて仙人ら超常が必要とされなくなるっていう展開もベタ。
 結局肝心なのは王弁と僕僕先生の関係で、それをメインに読んでる分には充分楽しい。というか読んでる間はそれしか気にならなかったので、全体の話が面白くないように思ったのは僕がキャラクターに集中しすぎたせいかもしれない。
 王弁がラッパ上手いっていうのは何かに繋がるのかと思ったけどとくになかったなあ。最後まで使える題材だと思うんだけど。
posted by 魚 at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック