ワールドコン特集その2。前号に予告のなかったゲイマンもちゃんと載ってました。交渉とかしてたのかね。前号と違って、面白いし感想がはっきりした作品ばかりでよかった。今月もあんなのばっかだったら困ってた。
「イエローカード・マン」パオロ・バチガルビ
全てを失い難民となった老人が成り上がりを夢見る話。
こないだのと同じ世界観らしい。相変わらず暑苦しいなあ。東南アジアの難民キャンプて。屈辱にまみれて、なりふりかまわずふるまっても、それでも結局もう一度大企業に就職するという夢しか見れない老人の姿が哀れを誘う。 +1
「ポル・ポトの美しい娘(ファンタジイ)」ジェフ・ライマン
ポル・ポトに殺された人々の霊に取り巻かれる少女の話。
正義のなされる世だったらいいのにね。断罪よりも、癒しの方向で。風景や雰囲気の描写がいいなぁ。ラストらへんとかきれい。 +2
「ジンの花嫁」イアン・マクドナルド
外交官AIと結婚したダンサーの話。
タイ、カンボジアときてこれはインド。何かがあるようなないような。さておき混沌紙一重の壮麗さっていう雰囲気は、インド(のイメージ)に似合うなあ。ジン=AIという見立てなのかと思いきや、ところどころでジンは実はまた別みたいな描写が。これはなんだろう。その存在がちょっと示唆される人間の認識を超越した知性存在のことなのか。 +1
「パーティで女の子に話しかけるには」ニール・ゲイマン
引っ込み思案な少年が、パーティで女の子に話しかけようとする話。
読み返してみたらちゃんとSFっぽい話になっていて驚いた。上手いなー。 +2
「あなたの空の彼方の家」ベンジャミン・ローゼンバウム
遠未来、小宇宙を守護するAIがその重圧に苦しんだりする幻想的な話(っぽい)。
SFハッタリが暴走して大変なことに。バカみたいなスケールのSFガジェットを、フェンタジックなモチーフでもって描くという手法は逆にオーソドックスだよね。そういうのもキライじゃないけど、日本語では言葉のイメージが微妙に繋がらなくて雰囲気が掴みにくいのと、ラストがちょっと微妙。少女に丸投げってのはどうよ。 0