2007年12月15日

「S-Fマガジン08年1月号」

早川書房

テッド・チャン特集。
「商人と錬金術師の門」テッド・チャン
アラビアンな世界観でワームホールなタイムトラベルの話。
語り手のエピソードがあまり面白くないけど、一々アラーの神を引き合いに出して倫理的に納得していくプロセスは面白い。 +1

「予期される未来」テッド・チャン
負のディレイ回路にまつわる話。
まあそうなるよね。 −1

書き下ろしエッセイだけど、昔掲載されたインタビュウかなんかで(もっと簡潔だけど)同じこといってなかったっけ。科学世界とSF世界。「バビロン」と「不在なり」引き合いにだして。

「ダイノクロム」キース・ローマー
敵に拿捕されたロボット戦車の話。
ダイノクロム超強い。もしかしてロボットSSコンテスト絡みの掲載だったりするんだろうか。オチはほのぼの。 +1

「特別大使との夕暮れの会談」セルゲイ・ルキヤネンコ
侵略者との交渉を任じられた外交官の話。
交渉とかの人類の努力とは全く無関係に状況が打開され、それどころか好転してしまうシニカルな展開。オチは古典的。ロシア視点がちょっと楽しい。土地貰えなくて悔しいあたりとか。 ±0

「ライアンの尻尾」江沼エリス
盲導犬ロボットの尻尾に関する話。
ようするにアシモフの「お気に召すまま」ってわけだな。ロボ犬は人に懐かないけど人はロボ犬に懐ける。存在しない尻尾が見えてしまうくらいに。無難に堅実って感じ。 

「二重写し」船戸一人
機械の脳と、機械の身体の話。
作中作とストーリーの関連性がイマイチはっきりしない。機械の脳みそが作家にとってどう役立つんだろう。ネタは面白げだけど危なっかしい。 −1

「セーフガード」久道進
要介護老人の動きを制御するロボスーツの話。
ロボSSじゃなくて介護SSじゃね? それはそれとして、お祖母さんが感じていたかもしれない「悪意」があまり見えてこないような。なんかよくわからん。 −1
posted by 魚 at 02:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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